2016年6月7日火曜日

公益財団法人KDDI財団 成果報告書(要約)      2016年6月7日

団体
 宇都宮大学ハラール研究会
代表者
 友松篤信





 ムスリム訪日誘客には、ムスリムが訪問しやすい環境を整備するムスリムフレンドリー化の活動が不可欠である(この点が他の観光客とは大いに異なる)。ムスリムフレンドリー化の活動には、ムスリムにとって訪問しやすい魅力的な観光地にしていくことと、「ムスリムとは如何なる人たちか」を日本人に理解してもらうことの2つが重要である。本事業では、ハラール研究会に広範囲な市民の参加を呼びかけ、また那須烏山市と佐野市でモニターツアーを実施して、ムスリムによる観光地評価を行った。さらに宇都宮市で市民向けセミナーを開催して、ムスリムの宗教的戒律への理解を呼びかけた。

⑴ハラール研究会への社会人参加 平日午後に隔週で開催するハラール研究会には、県議、市議、NPO法人主催者、地方公務員、国際交流団体役員、自営業者、会社経営者など多様な市民が参加した。研究会に寄せられた意見は本事業に活かした。参加した議員はムスリムフレンドリー化という新しい政策課題を見つけて、県政や市政に反映させた。
⑵市民向け啓発セミナー 「宇都宮市観光コンベンション協会」との共催でホテル、飲食店、物品販売業者を対象に「ムスリムおもてなしセミナー」を2016年3月に3回実施した。セミナーでは一神教や礼拝の意味や作法を説明し、ムスリムによる礼拝を実際に公開した。この試みは本邦初と思われ、生きた知識の普及に役立ったと考えられる。
⑶モニターツアー 那須烏山市(40人規模、2回)と佐野市(ムスリム家族8名、1回)で実施した。那須烏山市のモニターツアでは、山上げ祭(2017年ユネスコ文化遺産登録予定)、観光やな、観光果樹園はおおむね好評であったが、稲刈りは評価が別れ、日本酒の地下貯蔵庫見学は不評であった。佐野市のモニターツアーでは、秋山地区の景観が好評でハラール食やトイレなどに関するきめ細かい意見が出された。佐野市関係者とマレーシアからの本格的モニターツアーを計画中で、2016年9月に実施する予定である。
⑷モスクとの連携 今後、継続的にムスリムが県内観光地を訪れる流れを作るため、那須塩原市、鹿沼市、小山市、足利市にあるモスクのイマーム(宗教指導者)や世話人を訪問して、これまでのマレーシア人に加えて、パキスタン人・スリランカ人・インド人ムスリムとの人的関係構築に努めた。

 本事業の波及効果はつぎの通り。
⑴メディア報道 本事業は新聞(下野、朝日、読売、毎日、産経、東京)、テレビ(NHK宇都宮、佐野テレビ、ラジオ(栃木放送で報道され、広く認知された(添付資料)。
⑵ハラール食の普及 モニターツアーのために飲食業者によってハラール食が調理され、ハラール対応できる仕出し屋1軒とレストランが3軒誕生した。
⑶礼拝施設の監修 (株)東武ワールドスクウェアの依頼で、礼拝とお清め施設の設計を監修した。201512月の開所後、このテーマパーク企業を訪れるムスリム客は毎月20名に達している。
⑷インドネシアTV局日本紹介番組制作への協力 電通(栃木テレビ制作)によるインドネシアTV局向け日本紹介特番(栃木編、2本)の制作と監修に協力し、インドネシアからの栃木県への誘客に貢献した。
⑸ハラール研究会ブログ ハラール研究会のブログ(http://halalresearch.blogspot.jp)を開設した。これにより、フェースブックと連動する強力な広報を開始した。


結論と謝辞 限られた資金を最大限活用させて頂き、継続性のある大きな成果を上げることができました。二度の計画変更を暖かく見守って頂くなど、KDDI財団のご理解と細やかなご支援に厚く御礼申し上げます。